Opening remarks

Mr. Bill Moran
Publisher of Science Family of Journals, AAAS

Science / AAASJapan & Science / AAAS:
For the Future of Science and Innovation in Japan

Science without borders

ISO 17100 認証マークScience Japan Meetingの開会にあたり、Scienceとその姉妹ジャーナルの出版者Bill Moran氏がopening remarkを述べた。本ミーティングの最も重要な目的は、若い世代の研究者のために、いかに科学の発展を助けるかについて話し合うことであった。Moran氏は「科学の進歩を持続させていくカギは若い研究者の心を刺激することにあり、そのためには科学をキャリアとして考えること、そして科学研究への資金提供を優先すること」であると指摘した。

Moran氏によれば、さまざまな科学出版の指標や、研究論文の発表傾向をみると、中国が日本や欧州を上回るようになっており、今や米国に追いつく勢いだ。この動向は、海外にいる優秀な研究者に、中国でフルタイムでの研究に従事することを奨励するThousand Talent Planプログラムの成果と言えるかもしれない。日本では、WPIが同様にトップレベルの研究者を誘致する大規模プログラムである。

AAASでは研究者のキャリアアップを助けるため、ScienceジャーナルのウェブサイトでScience Careerというコンテンツを、あらゆるステージの研究者のための検索エンジンとして提供している。

将来への投資は、学生たちにとって、国際的な経験を積み、国際的な協力体制を強める助けとなるだろう。一方で、現在の世界が直面している状況において資金提供を行うことはますます難しくなっている。ここでまた中国を例に挙げると、基礎科学の研究開発に対する投資は過去5年で倍増しており、このペースで増資が進めば、本年末には米国を追い越すことになる。対GDP比を見ても、科学研究に対する資金提供へのてこ入れは明らかであるが、興味深いのは基礎研究に対する投資が蔑ろにされていないことである。革新を牽引するには、基礎研究に投資する必要があることを彼らは認識している。日本の科学研究は素晴らしいものであるが、そこへの投資を継続するためには、日本でも同様の戦略を取る必要がある。

ISO27001 認証マーク近年、科学における重要な進歩がみられると同時に、政府や一般市民の側に科学に対する不信が見受けられる。一部の国や政府は方針を変え、科学的根拠に基づく決定を行わないようになってきた。Science/AAASは、科学に国境はないと信じている。今回のミーティングは、科学に関するリテラシー、多様性そして教育を促進することによって、いかにその目的を達成できるかについて、「food for thought(考えるために必要な材料」を提供してくれるものとなった。

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