- 2021.01.06
- セミナー
査読者の"脳"をつかむ!: 第3回 論文執筆術ウェビナー『成功の戦略と文章術』
論文作成において最も大切なのは、「査読者にストレスを与えないこと」です。ボランティアで審査をしてくれる査読者に「がんばって読めば理解できる」レベルの論文を送りつけてはいけません。
読みやすい論文を書くための第一歩は、我々人間の脳が文章を処理するしくみを知ることです。脳に負担をかけない、つまり査読者にストレスを与えない文章を書ければ、たとえ同じデータを発表する場合でも、論文のアクセプトがグッと近づきます。
羊土社からこのたび刊行された『成功の戦略と文章術』には、人間の心理や認知機能を利用して、論文を読みやすく仕上げるためのコツが多数紹介されています。今回のウェビナーでは、本書の翻訳を担当した私(布施雄士)がこの本の中から、次に挙げた「脳にやさしい」論文を書くコツ2点を解説します。
- 研究成果の「センセーショナル度」に応じて、論文の骨格を決める方法
- 論文のアクセプト/リジェクトを左右するイントロダクションの書き方
ポイントを押さえれば、一度読んだだけでスルッと理解できる論文をすぐに書けるようになります。私自身も利用してきたテクニックを共有しますので、ぜひご参加ください。
「ネイティブが教える英語論文・グラント獲得・アウトリーチ 成功の戦略と文章術」
Yellowlees Douglas (著), Maria B. Grant (著), 布施 雄士 (翻訳)
講演日時:2021年2月4日(木) 17:00-18:00
講演者:布施 雄士先生(生物/医学系翻訳家・ライター)
2012年北海道大学獣医学部卒業。2014年まで 動物用医薬品の研究・開発に従事。2018年筑波大学大学院 生命システム医学専攻修了。獣医師,医学博士。フリーランスとして、医薬品のプロモーション資材から学術論文まで,生命科学に関する幅広いジャンルのライティングや翻訳を手がけている。多様な学術論文の執筆経験を活かし、論文のライティングに関するアドバイスや編集作業も行っている。専門は動物生理学(アザラシの呼吸生理)および分子生物学(医薬品の毒性・薬効評価)。
第3回 :査読者の記憶をコントロール?:頭に残る文章の組み立て方
内容のポイント
- 論文をアクセプトさせたいなら、査読者が論文の主張内容をしっかりと記憶できるように書くことが重要。論文では複雑な議論を構築していくからこそ、人間の記憶のメカニズムを理解して、伝えたい部分を読み手に覚えていてもらう工夫が必要。
- 人間の脳は最初と最後に書かれていることを記憶しやすい傾向にある(Chapter 2-5)。このメカニズムを論文のライティングにも応用すべき。1つの文、1つのパラグラフ、1つの論文、どのレベルでもこのメカニズムがはたらくことを意識せよ。
- パラグラフの冒頭部分は特に重要。記憶に残りやすい上に、次に書かれている内容を予告する役割を持っているからである。
- 文章の最初と最後が記憶に残りやすいこと(新近効果)を利用してHead-Body-Foot構造を利用する(Chapter 2-5)。
- 逆にいうと、文章の真ん中の部分は記憶に残りにくいということである(デッドゾーン)。この性質も、査読者による批判をかわすためにうまく利用することができる。
- このような脳の性質をどのように論文ライティングに利用できるのか、考察の書き方とからめて具体的に解説する(Chapter 4-11,12)。
書籍該当箇所
Chapter 2-5 文章に一貫性を持たせる:プライミング効果、初頭効果、新近効果(頭に残りやすい部分とそうでない部分があるという文脈で説明、Head-Body-Foot構造について詳しく解説)
Chapter 4-11 考察におけるレトリックと議論の進め方
Chapter 4-12 研究の弱みや制約の扱い方
共催:株式会社アスカコーポレーション、株式会社羊土社
後援:株式会社トランネット
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株式会社アスカコーポレーション 担当:吉川 / 橘
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