- 2019.09.12
- セミナー
おさらい:ASCA ウェブセミナー 第4回 「ここが聴きたいメディカルライティング:オーサーシップ(Aurthorship)」
ここが聴きたいメディカルライティング:オーサーシップ(Aurthorship)
今回、9月12日開催のウェブセミナーでは、オーサーシップ(Authorship)について取り上げました。
オーサーシップとは?
オーサーシップは日本語では「著者資格」と訳されます。オーサーシップについては、国際医学雑誌編集者会議(ICMJE)のRecommendationsとISMAPPのGood Publication Practice 3(GPP3)を中心に、押さえておくべき重要なポイントがいくつかありますので、Q&A形式でみていきましょう。
1. 著者とは何をする人ですか? 原稿を書いた人が著者ですか?
オーサーシップについて、ICMJEで定められた定義があります。
- 研究の構想もしくはデザインについて、または研究データの入手、分析または解釈について実質的な貢献があり、
- 原稿の起草または重要な知的内容に関わる批判的(critically)な推敲に関与し、
- 出版原稿の最終承認(final approval)を行い、
- 研究のいかなる部分についても、正確性あるいは公正性に関する疑問が適切に調査され、解決されるようにし、研究のすべての側面について説明責任があること(accountable)に同意している
(ICMJE Recommendations II A 2. Who is an Author? 2015年12月版*:宮崎貴久子、中山健夫訳)
以上、4つの要件すべてを満たす人が著者です。
2. 治験結果の報告論文に関して、製薬企業に所属し、治験実施から論文の執筆まで、深く関わった人の名前は記載しますか?
上記4つの著者資格すべてを満たしていれば著者として記載します。その他にもGPP 3では、治験依頼者が、資金提供、試験デザイン、試験運営、執筆補佐において果たした役割をすべて開示し、また執筆開始前に、執筆倫理を守った執筆について著者と書面での合意形成をしておくことが望ましいとされています。
(GPP 3:2.0 Roles and Responsibilities; 2.1 Written Agreement)
3. メディカルライターと著者は違うのですか?
上記4つの著者資格を満たす人はすべて著者です。しかし、メディカルライターが試験デザインやデータ解析に関わっていない場合は、著者資格を満たしていないため、研究貢献者と扱われます。前回のASCA掲示板でご紹介したように、著者の承認を得れば、ライターは投稿や学会発表も可能です。GPP3では、メディカルライティングのガイドラインや倫理規定に詳しいライターが執筆に携わることは、論文の報告の質を高め、忙しい医師や研究者(著者)に代わって迅速にその結果を公開する力となるとされています(GPP3 2.4: Professional Medical Writers)。
ライターが執筆に携わっている場合は必ず謝辞に氏名、所属を記載し、執筆補佐の資金援助についても開示しましょう。