- 2018.09.20
- コラム
翻訳ってなんだろう?
私たちは日々翻訳に携わっています。それでも「翻訳とはなにか」という話をする機会は多くありません。もう一度私たちが携わっている「翻訳」について考えてみたいと思います。
「いい翻訳」とは、発信者が伝えたいメッセージを、受信者が間違いなく受け取るようにすること。
これは言葉で言うほど簡単ではありません。お隣の同僚との会話だって、「そんなつもりで言ったんじゃないのに」と、自分がよく知っている相手に、自分自身の意図を伝えるのすら、難しいという経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
私たちが日々行っている翻訳は、他人が書いた文章を通じ、自分が直接知ることのない相手に、文章の書き手のメッセージを伝える仕事です。何のために、誰に向かって、何を伝えたいのかを想像しながら言葉を作っていく仕事です。
治験文書のプロトコール。治験に携わる医療従事者たちが正しく治験を実施し、正確なデータを提供してもらうことが目的。文章の読み手は治験に携わる医療従事者がメイン。忙しい医療従事者たちが、すんなり読めて、誤解なく理解できる文章。おまけに治験をタイムリーにスタートするために、素早く仕上げることも大切!
社内資料?誰が誰に向かって何のために作る資料なのでしょうか。上司に報告して必要な予算を承認してもらうためのものかもしれないし、社長が社員を鼓舞するメッセージかもしれません。上司が予算承認決定するポイントは何かしら?社長はどんな思いで社員を鼓舞しているのでしょう。
だから翻訳って面白い。そして本当に難しい。
1970年代ごろから発達してきた「Translation Studies」でもいろんな見方や方法論があります。おりにふれて紹介できればとおもいます。
請うご期待、お付き合いください。
(by 佐々木 薫)