- 2020.11.26
- お知らせ
夢を覚えていないのはなぜ?
社長ブログ更新しました。
第7回Science Cafeのタイトルは「レム睡眠と記憶」。
名古屋大学 環境医学研究所の山中章弘教授によるご講演で、浅い眠りで記憶が消去される仕組みについてわかりやすく、
興味深くお話しいただいた。Scienceには2019年9月に掲載され、「2019年Science誌 に載った日本人冊子」にもコラムをご執筆いただき、
今回のご講演の夢がかなった。
"REM sleep-active MCH neurons are involved in forgetting hippocampus-dependent memories"
https://science.sciencemag.org/content/365/6459/1308
メラニン凝集ホルモン産生神経(MCH神経)が摂食行動や睡眠覚醒の調節に関わっていることは分かっていたものの、記憶への影響は不明だったという。今回の研究で、MCH神経がレム睡眠中に記憶を消去していることが明らかになったと。
https://www.asca-co.com/blog/science/entry20201021132511.html
1千万円もする2gの超小型顕微鏡を用いた神経活動の記録をマウスに適用。
光遺伝学や化学遺伝学の手法を用いたところ、このMCH神経活動が、海馬の神経活動を抑制したり、
記憶を消去していることが証明された。
レム睡眠中に活動するMCH神経は、目覚める直前の夢の内容をすぐに忘れさせる一因である。
なのでこの仕組みの応用として、トラウマとして残っている恐怖心や怖い体験などの記憶を消去することで、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を治療する臨床応用への貢献が期待できるのだと。
人間はすべての動物の中で「眠る」ことを許されている唯一の生き物なので、しっかり眠りましょう、また、年齢を重ねるとエネルギー消費も減るので無理して眠る必要なはい、とも。
忘れないと覚えられないので、不要な記憶はどんどん忘れ、いい記憶は残していくこと、など、生きるヒントをたくさんいただいた。素晴らしい研究である。
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